毎月のことば

2017

2017年のことば

十二月のことば

 早いものでもう師走です。今年も色々ありました。
 ところで皆さんの生活の中でこのようなことはありませんか?
 ①年末宝くじの季節です。何十年も外れているけれどやめられない(その分貯金していたら相当貯まったのに…)② 定食を頼むときに松3,000円、竹2,000円、梅1,000円の中から、つい竹を選んでしまう(梅でいいのに…)③100万円の預金が110万円になって得をした喜びよりも、10万円減って90万円になって損をした痛みの方が倍くらい大きい(人間はとにかく損をしたくない気持ちが強い)
 今年のノーベル経済学賞のR・セイラー教授が研究する「行動経済学」というジャンルのお話しです。人間の経済行動を心理学の面から分析したもので、どれもうなずくことばかりです。自分がいかに合理的に行動していないか、よくわかります。このような例もあります。社員に企業年金加入を勧めても一向に増えません。そこで、デフォルトでは全員「加入する」という設定にして、加入しない人には脱退手続きをするようにしたところ、ほとんどどの人がそのままにしたため、年金加入率が飛躍的に上がったそうです。
 このような「こころの経済学」を知っておくと、会社生活でも家庭生活でも無駄な損をしなくてすむかもしれませんね。これからの年末年始、くれぐれも「不合理」な行動を取って痛い思いをしないよう、お互いに気をつけましょう。
 それではみなさん、良いお年を!

十一月のことば

 今年も残すところあと2ヶ月になりました。
 今年もいろいろなことがありましたが、会社で働く人たちにとって共通の話題、課題は働き方改革だったのではないでしょうか?
 働き方改革は、労働時間を減らすこと(生産性の向上)が目的ではなく「様々な特性を持った労働者が、意欲や能力を発揮でき、ワークライフバランスの取れた暮らしを実現する」ことが目的です。目的達成の手段である生産性向上については、働き方改革が取り沙たされる以前から多くの企業が業務のスリム化、見直し、システム化、等、いろいろな取り組みを行ってきています。
 しかし、日本企業の生産性は先進国(G7)の中で最下位となっており、働き方改革の実現のためには、飛躍的に生産性を向上させる必要があります。
 なぜ、生産性が低いのか、理由はいろいろとあると思います。業務のやり方を大幅に見直ししようとしても過去の経験の延長線上で考えてしまい、思い切った見直しが出来ないということも理由の一つではないでしょうか?
 企業を取り巻く環境や社会情勢が従来以上のスピードで大きく変わる現在において、過去の延長線上での考え方を引きずり、変革・改革が出来ない企業は衰退してしまいます。
 働き方改革での生産性向上の取り組みにとどまらず、これを契機に環境や社会情勢の変化に適切、機敏に対応し、変革・改革が出来る会社になっていきたいと思います。

十月のことば

 アップルの初代iPhoneが2007年6月29日に販売開始されてから10年が経過した。まったくの偶然だがその日に海外出張で西海岸を訪れ、アップルストアの長蛇の列を見かけたが、その時はアップルファンの人たちだけが並んで買うのだろう、と思っていた。
ところがそれから何年も経たないうちに、スマートフォンが世の中を席巻し、持つのが当たり前の世界になり、後に自分が使うことになろうとは想像さえできなかった。
 そして現在、RPA(Robotic Process Automation)がホットワードになっている。コンピュータを使った事務のOA化はかなり進んだものの、RPAは認知技術を活用した本格的なホワイトカラー業務の効率化、自動化に対するアプローチである。
 上述のiPhoneの例ではないが、RPAも5年も経たずしてホワイトカラーの仕事を根底から変えていく可能性を秘めているのだろう。定型業務をRPAに任せ、知的労働の比率を高めることで働き方も、働く人自身も大きく変わっていくはずである。当社もその動きに乗り遅れないようキャッチアップしていきたい。

九月のことば

 近年、人工知能(AI)が幾何級数的に進歩している。今やAIは小説や楽曲を書き、将棋も囲碁もAIの勝利である。会社業務においても、効率化や自動化に留まらず、予測や分析、評価の高度化など、人間の能力を超えたパフォーマンスが実現しつつある。いったいどこまでAIでカバーできるようになるのか楽しみでもあり、また少々不安でもある。一方、我々人間はというと、平均寿命は年々延び、今や人生100年時代、長々高齢化社会が益々進行している。識者の中には、教育・勤労・引退という3つのステージを生きた時代は終わり、私たちの知っている世界とは全く別の未来の到来、生き方・働き方を次々と変えていく時代の到来を予測する者もいる。
 そのような中、当社も、AIは、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入、働き方改革は、テレワーク試行などに着手し、常に先端的な企業であるべく努力をしている。ただし、それは単に最先端を追い求めているのではない。逆に、時代は変わっても、「従事する者が心底成し遂げたいと思える事に没頭できる環境」を少しでも多く整備したいという変わらぬ願いから起こってきている。
 爽やかな初秋の候である。時として曇りもあろうが、その先には常に青空がある。いつも青空のように変わらぬ願いを胸にしていたい。

八月のことば

 梅雨も明け、いよいよ夏真っ盛りのシーズンとなった。
 ところで、私達が日々使っている漢字には組み合わせて意味を持たせているものが多い。これを会意文字というらしい。
 「人材」という言葉がある。このうち「材」の字は材料の「材」でもあるから、あたかも道具や部品の一部のようで「人材」に「材」の字をあてることに異を唱える諸氏もいる。ところが、「材」の字を漢和辞典で調べてみると「逸材」や「適材」など才能、また才能のある人の意味もある。
 ある時、当社の若い中国人社員と「人材」談義をした。木へんの「材」には木が幼木から大木に育っていく意味合いがあり、まさに人が木々のように育って優れた人材になっていくイメージを持つという。
 なるほど、普段何気なく使っている漢字の奥深さに改めて感心した。当社の人材も木々のように育ち、やがて豊かな森となっていくのであろう。
 暑い季節だが、この夏は森林浴を楽しみながら木陰でゆっくり読書をしてみようか。新たな言葉の発見があるかもしれない。

七月のことば

 2017年も半年が経過した。月日が経つのは本当に早いものである。
2017年上期の出来事としては、1月に日本人力士として19年ぶりに稀勢の里が横綱に昇進。2月には長時間労働の是正、個人消費を促すための「プレミアムフライデー」が始まった。4月は熊本地震から1年を迎え、5月には秋篠宮家の眞子様のご婚約があった。重ねて言うが、光陰矢の如しである。
 さて、この度「紙の社内報」を発刊することとなった。社長メッセージから始まり、各種トピックス、事業所紹介、社員紹介などの掲載を予定している。その時々の出来事を共有し、一体感を醸成して、より良い会社にしていきたい。
 社員が手にとり、読んで楽しい社内報を目指す。家庭に持ち帰れるので、「パパの会社の社長さん、かっこいい!」「お母さんの会社にはこんな人がいるんだね!」「この事業所楽しそう!」と家庭での会話のきっかけになればうれしい限りである。今、この時々の「点」がのちに「線」となり、後世に伝えられる社内報を作っていく。

六月のことば

 6月 曇り空のなか、紫陽花(あじさい)が美しく咲く季節になりました。
 紫陽花はヨーロッパ、アメリカなどでも広く栽培され、多くの品種が作り出されていますが、原産地は日本。古くに中国に伝わり、18世紀にヨーロッパを経て世界に広がったとされています。江戸時代末期に来日し、長崎に滞在したシーボルトは、帰国後自著の中で紫陽花をオタクサ(お滝さん:日本に残した妻の名前)と紹介し、遠くで暮らす愛する人への思いを込めたという、情緒溢れる逸話も伝わっています。
 さて、植物にとっては根や枝葉を伸ばす季節ですが、低気圧と湿気で人にとってはだるくて辛い季節。カフェインの入った飲み物、スパイシーな食事、光と新鮮な空気にあたる適度な運動・ウォーキングなどがリフレッシュに有効とのことです。とかく運動不足と偏食、ストレスを抱えがちな我々ですが、週末は一時仕事を忘れ、紫陽花鑑賞にでも出かけてみましょうか。

五月のことば

 今年のゴールデンウイークは日並びが良く、9連休の会社もあるようです。日頃、がんばって働いている方は、家族サービスや自分の趣味で過ごす良い機会になるでしょう。総人口・労働人口の継続的な減少や長時間労働の悪しき慣習から脱却するため、世間では「働き方改革」の取り組みが進んでおり、当社もいろいろ取り組みを進めているところです。一方、「働き方」だけでなく「休み方」についても考える必要があるでしょう。有給休暇が取りやすい職場の雰囲気作りや、長期休暇をゴールデンウイーク・お盆・年末年始のように同じ時期に一斉に取るのではなく、個人が自由に長期休暇を取れるように工夫することが大事だと思います。日頃、休みを家でごろごろ過ごしている自分にとってちょうど良い機会ですので、この9連休を有意義に過ごせるよう「休み方改革」について考えてみようと思います。

四月のことば

 いよいよ4月、春まっさかり、桜もまっさかり。入学式や入社式もまっさかりです。みなさんはどのような春を過ごしていますか?
 そういえば、春にちなんだ百人一首にこんな句があります。「君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪はふりつつ」春の情景と雪とのコントラストが優雅です。実はこの句、色々な替え歌になるのです。例えば結婚式の祝電には、「君がため 永遠(とわ)の野に出でて 絆つむ わが衣手に 幸(ゆき)はふりつつ」なんていかがですか?
 今や世界中が自分ファーストになりつつある中で、少しでも誰かのために何かをつむ、ということがあってもいいかもしれません。人は誰かのために何かをした時に幸せホルモンがたくさん出るそうです。そして幸せな時こそ生産性が高まるそうです。
 みなさんは誰のために、どこで、何をつみますか?
 さしずめ当社は、社会のため、お客様のため、株主のため、従業員のために、信頼を重ねていきます。こんな感じに。
 「君がため 世界の野に出でて 資材つむ わが衣手に 未来はふりつつ」

三月のことば

 3月に入り、暦の上では春となり、昼間は春の兆しが感じられるようになりました。
 昨年末以降も経済情勢は目まぐるしく変化しましたが、国際的には米国のトランプ大統領が最も話題になったのではないでしょうか。関税政策等保護主義的な政策により、日本経済にマイナスになるのではと心配されましたが、今のところ積極的な財政出動を示唆し、米国経済は活況、その結果として日本経済にも良好な影響を与えています。とはいえ、今後の施策は極めて不透明であり目は離せません。日本に目を移しますと、全体的には円安影響を享受するも、業種毎・企業毎で業績にバラツキが見られ、電機業界を見ても製品別に好不調が二極化してきています。
 3月は巣立ちの時期、就職など人生の転機を迎える方も多いでしょう。来月から新しい会計年度に入りますが、一体どんな年になるのでしょうか?当社も、変化に対する機敏な対応力が以前にも増して求められていると思う次第です。

二月のことば

 新年はもう一ヶ月前に迎えてしまった、と皆さんはお考えだと思いますが、旧暦で動いている中華圏では今年は1月28日が正月(春節)で、1月1日よりも行事的にも心情的にも本当の新年を迎えている。今月が新年という感覚だろう。中華人民共和国・台湾・モンゴル・韓国・北朝鮮では、春節は太陽暦の正月より盛大に祝われる。それらの国のみならず、華僑の多いシンガポール・マレーシア・インドネシアでは国の休日となっているので、アジアでは“正月は春節である”ということだろう。中国では春節の他に端午節、中秋節が旧暦での国の休日となっている。
 かたや日本では、明治5年に従来の旧暦を廃して翌年から太陽暦を採用することが布告された。とはいえ旧暦のなごりも残っており、立春、春分、立夏、夏至、大暑、秋分、立冬、冬至、大寒などの二十四節気が主に気象情報の分野で使われている。中華圏で生活した経験のある方で、二十四節気が季節感に合っているといわれる方もいるようだ。
 長い歴史と経験に根ざしたものはなかなか捨てがたいものである。

一月のことば

 「正月や冥途の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」有名な一休さん(室町時代の禅僧:一休宗純)の句である。
 新年は心新たにお目出度いが、同時に、また一年経ち刻々と時間が過ぎている(冥土へ旅している)という証拠(一里塚)であり、手放しには喜べないぞ、ということ。そう、光陰矢のごとし、"時間"こそが大切なのだと知らされる。
 昨今、世に「働き方改革」が唱えられている。長時間労働等の是正、女性や高齢者の雇用環境改善等が進められているが、これも"時間"がキーポイントである。「自分の人生の限られた"時間"を大切に使いたい」、「価値ある時間、意義ある時間を過ごしたい」と願った時、心身の健康を増進するための"時間"を過ごすことは非常に重要である。一方、良質な仕事を継続して、より大きな価値を生み出し、他者へ貢献することも人生の価値・意義を高める大切な"時間"の使い方だ。(「働く(はたらく)」ことは「はた(傍:自分以外の人)」を「らく(楽)」にすること)。当社は、これら二つ(Work・Life)を相反させることなく、人生における個々人の価値の最大化をサポートしていく企業でありたいと願っている。