毎月のことば

2020

2020年のことば

十二月のことば

 2020年の師走を迎えました。

 そもそもこの師とは師匠の僧侶を指していたようですが、この冬、奔走せざるを得なくなった医療従事者の方々には、心からの感謝を捧げたいと思います。

 年初、オリンピックを控え期待に満ちていた日本社会は、新型コロナによって多大なる打撃を受け、多くの業種の方々が無事に年を越せるかと不安にさいなまれながら奮闘されていることでしょう。

 未だかつてないと言われた震災や度重なる異常気象を経験し、その上このような禍もあるのかと、来るべき未来は中々見通せないというのが現実となりました。

 親しい人と過ごしたいクリスマス、一家一族で団らんをと願うお正月も、この度はいつもと違ったものになるのかもしれません。

 それでもやはり1人ひとりを勇気づけ支えてくれるのは人同士の関わりであると信じ、孤立することなく絆を深めていきたいものです。

 新しい年への希望を胸に。

十一月のことば

 新型コロナウイルス感染症対策として、テレワークが急速に普及しました。働き方改革の施策であったテレワークが事業継続にも役立ったことで、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)は企業活動を支える重要な技術であることを再認識させられました。

 テレワークは感染症対策、働き方の一つとして定着すると思われますが、普及・定着の阻害要因として「ハンコ」が議論されています。これは、緊急事態宣言の中、「ハンコのために出社」を余儀なくされた実態が浮き彫りとなったためです。

 「脱ハンコ」への対応には電子署名や電子サインなどのデジタル技術が不可欠です。結局、ICT活用の課題はICTで解決することになりそうです。

十月のことば

 10月は和暦で神無月といいます。全国の神様たちが出雲大社(島根県)に出張し、いなくなってしまうからとのこと。(島根県では神在月というとか)もともとは、大国主の大神が、全国に配置した子供たちを年に一度招集し、その年の行政報告と相談を行っていたのですが、他の神様たちも参加する様になり、人の運命や縁談などについて話し合うようになったそうです。

 会社で言えば事業計画・人事構想の大会議といったところでしょうか。今年は密を避けるため、TV会議になってしまったりするのでしょうか。カメラやセンサーが進化し、通信容量が増えても、雰囲気、言葉にならない人の気持ちまでは伝えるのは難しいですね。気兼ねなく移動ができるようになり、賑やかな酒場で、仲間と盃を交わせる日を待ちわびてしまいます。

九月のことば

 日照りに不作なし。実りの秋と言うように秋になるとたくさんの作物が収穫の時期を迎え、旬な味わいが楽しめる季節になります。今年はなかなか梅雨が明けず、8月に入ると猛暑。スーパーで野菜の価格を見る限り、どこが不作なし?という気がしますが、そのおかげで甘みが増す果物などもあるでしょう。

 20年以上前の夏に山陰を旅行したことがあります。7月の終わり、梅雨が明けたばかりでしたが、その時も猛暑でした。鳥取観光で砂丘にいたところ、その日の気温が今では当たり前となった39℃、ここは砂漠か?という思いになりました。その時のバスの運転手さんがつぶやいたのが冒頭の言葉。実際にその年が豊作だったかどうかは忘れてしまいました。味覚の秋、今は旬の梨を楽しんでいますが、その他の作物はどうなるか、豊作になることを願うばかりです。

 ただこれも陸の話。海に目を向ければ今年も秋刀魚は不漁のようで庶民が気軽に楽しむことのできない高級魚になりました。地球温暖化のせいか分かりませんが海まで熱いのは考えもの。いつまでも四季折々の味覚が楽しめる世であって欲しいものです。

八月のことば

 新型コロナウィルスの感染拡大で、三密を防ぐ狙いから、世界的に自転車を奨励する動きが出ています。実際、日本でも通勤時にクロスバイクやロードバイクをよく見かけるようになりました。これらスポーツバイクには、ママチャリと同じ乗り物と思えないほど、爽快感や走る楽しさを感じます。

 ところで、アメリカは自然の中のサイクリングロードが豊富な国の一つですが、アメリカの自転車と日本の自転車の違いをご存じですか?

 実は、「左手が前ブレーキ、右手が後ろブレーキなのです!」(まあ、そうは言いながら、特性上の関係で日本でも左手が前ブレーキのロードバイクも走っているようですが。)

 現地で実際に運転すると、文化の違いにも似て、新鮮な驚きを感じます。コロナで海外旅行のハードルは高くなっていますが、海外でのサイクリングを想像するのも楽しいかもしれません。

七月のことば

 7月になると大学時代の琵琶湖での合宿を思い出します。30年以上前になりますが、ボート部(漕艇部)に所属しており、毎年7月は合宿でした。朝5時起床、夜10時消灯、朝昼晩の3部練習という生活。夜銭湯へ行き、合宿所に戻る途中、空を見上げると星がとても綺麗で、「ほっ」としたものです。翌日の練習で上手く漕げるかが不安で、沈みかけた気持ちも星を見ると、落ち着いた気持ちになりました。

 7月7日は「七夕」。顔を上げて星空を見ませんか。天の川を見ながら、しばらく会えなかった人達のことを想うと「ほっ」として、コロナ禍で沈みがちな気持ちも穏やかになるのではないでしょうか。

六月のことば

 今年は平年より梅雨前線の北上が少し遅いようですが、梅雨の季節が到来します。その梅雨に咲く花と聞いて多くの方が連想される花は紫陽花(あじさい)ではないでしょうか。

 今までなら、しっとりと濡れた姿が美しい紫陽花が、梅雨ならではの風情を感じさせられる日常でしたがこれからは、かなりの期間に渡り新型コロナウィルスと向き合っていく日常となっていくと言われている中で私たちの暮らし方、働き方も、感染拡大以前の状態に戻るのではなく、新常態の時代に合ったように変えていかざるをえなくなってきています。

 長く降り続く雨の季節で、どうしても気持ちも沈んでしまいがちな状態に加えて、この変えるという行為によるストレスもかかってくると思いますが、花には、見ている人を自然と癒やし、リラックスさせる効果があると言われています。

 こういう時こそ、しっかり感染予防対策をして、色鮮やかな紫陽花とも向き合ってみようと思います。

五月のことば

 新型コロナウイルスが日常生活や経済面で大きな影響を及ぼしていますが、そのなかで日夜ご尽力いただいています医療関係者や生活基盤を支えていただいている方々に深く感謝いたします。また、図らずも感染された皆さまとご家族、関係者の皆さまに心からお見舞い申し上げます。今は我慢の時ですが、一人一人ができることを行い一日でも早く新型コロナウイルスを克服するようにしましょう。

 この状況の中、当社でも感染防止・予防のため多くの社員がテレワークをしていますが、テレワークを行ってみて気付いたことがあります。行う業務や成果を確認することもあり、自分が行うべき業務、そのスケジュールを改めて見直すことになりました。Skypeでの会議や打ち合わせは必要なものに限られ、必要な話に絞られるため打合せ時間が短くなります。会議などが効率化され、自分のペースで集中して仕事をするため生産性が上がります。当社は諸手続きやデータの電子化が進んでいますが、ペーパーレスで仕事をしないといけないため、電子化が更に進みます。その反面、通信状況の関係もあり部署内、部署間のコミユニケーションは取りづらいことがあります。また、自宅にこもりあまり動かないため、気分転換がしにくく各自で工夫する必要があります。社内での何気ない会話やちょっとした打合せが仕事に余裕を生むことがあらためて感じられます。

 いずれ通常の業務に戻る際には、テレワークの良かった点を活かし、通常業務で大事だと感じた点を意識して実行していきたいと思います。これができれば働き方改革になりますね!

四月のことば

 例年であれば入社や入学等で希望に満ち溢れた明るい新生活が始まる季節なのですが、全世界で新型コロナウイルスが蔓延し暗い影を落としています。普段の活動が制限され経済活動も低迷、そこにあったはずの日常が、あっという間に非日常へと変容してしまいました。早く元に戻って欲しいと願っていますが、収束時期の予想も難しいようです。

 この危機的な状況に対し、弊社では、まずトップダウンで具体的な感染予防動作(入室前手洗い・ドアノブ定期消毒をチェックシート管理等)を早期に展開、そして全従業員へ方針や対応をトップより直接メール通知し、優先順位を明示(健康・安全の維持・確保が最優先。その上で事業維持、経済的被害の最小化を図る)、発熱・感染の場合の具体的要領等も展開し、緊急時も迷わず行動できるようにしました。テレワークや時差出勤の活用も拡大して頑張っています。「冷静に事態を見極め、何が優先かを念頭に臨機応変に対応し、今できることを行う」。とても厳しい状況ですが皆で一緒に乗り越えていきましょう。

三月のことば

 3月は年度変わりの月であり、卒業式や送別会等が催され、別れと出会いの始まりの時期と言えます。

 卒業式は、明治5年の学制施行に伴い、学年ごとの試験修了者に対して卒業証書を授与したことが由来だそうです。その後明治10年頃になって、教育課程を全て修了したことを認定し、そのお祝いをする式典として定着したそうです。

 私の学生時代には卒業式に「仰げば尊し」や「蛍の光」を歌っていましたが、最近は歌わない学校も多いと聞き、時代の流れを感じます。

 また、最近は会社を辞める時に「退職」ではなく「卒業」と言う人が多いようです。アイドルグループのメンバーがグループを脱退する時に「卒業する」と言ったことで広がったようですが、自分を育ててくれた会社への感謝と愛着の気持ちを表すとともに、新たな挑戦の気持ちを込めて、「退職」ではなく「卒業」と言っているようです。

 私もいずれ来る「卒業」に備えて、会社に感謝と愛着をもって仕事に取り組んでいきたいと思います。

二月のことば

 2月、寒いこの時期の旬の食材はというと、フグ、アンコウ、ズワイガニ、タラバガニ、牡蠣、白菜、長ネギ、水菜、春菊、などおなじみの鍋の具材とともに、八朔、甘夏、伊予柑、デコポンなどの柑橘類が食べ頃を迎えます。日本の柑橘類は酸っぱい印象を持っている方も多いと思います。八朔のさわやかな味、甘夏のジューシーなおいしさ、伊予柑のやわらかな食感、デコポンの武骨な見た目からは想像しにくい濃厚な味と風味など。

 豊かな味わいの日本の柑橘類ですが、起源は意外と新しく、かけ合わせや、従来品種の優良株を見つけて選抜・改良を重ねるなどして、20世紀に入ってから普及したものが多いようです。ビタミンCを多く含み、インフルエンザなどの、感染症予防にも効果があります。「美味しい果物を作ろう」という、農家の方々の弛まぬ努力に感謝しながら、今年も甘酸っぱい旬の味覚を楽しみたいと思います。

一月のことば

 新年あけましておめでとうございます。よき新春をお迎えのことと、お喜び申し上げます。

 正月の慣習に年賀状がありますが、新年の挨拶もメールやSNSへと変ってきています。元日の朝、郵便受けに年賀状を取りに行くのは、子供の頃から慣れ親しんだ正月の楽しみのひとつではありましたが、受け取る年賀状の数もだいぶ減ってきた気がします。現在のくじ付き年賀状が始まったのは1950年用のものからで、当時の発行枚数は1.8億枚。2004年用がピークで44.6億枚、その後、徐々に減少し、2020年用は23.5億枚だそうです。みなさんは書く派でしょうか、書かない派でしょうか。

 一方、SNSなどを利用すれば、離れた場所にいても、一緒に新年を祝うことができます。それはそれで良かったりします。新年の迎え方が変っていくのは、時代の流れだと思います。