毎月のことば

2023

2023年のことば

十二月のことば

 冬本番を迎えました。今年は記録上、最も暑くて長い夏だったそうで、遅れて訪れた秋はほんの束の間。紅葉に降る雪も見られたようで、まさに季節の二極化を感じます。
 最近では春の花見や秋の紅葉狩りの人気は、外国からの来訪者も加わり大変なものですから、美しい日本の四季が失われてしまわないかと心配されます。

 私はといえば、そうした人込みを避け、ここ数年は年末に旧友と軽い登山を楽しんでいます。
 山登りで火照った身体をクールダウンさせるのに、凍てつく真冬になる前の程よい冷気が心地よいのです。かつては富士登頂でご来光を拝んだこともありましたが、高い山ではなくとも澄んだ空気の中、気の置けない仲間と過ごすひと時は格別です。

 師走という慌ただしい時期に、敢えてゆっくりと歩を進めて往く年を振り返るのも、いいものではないでしょうか。

十一月のことば

 長い猛暑が終わり、漸く秋を感じられるようになりました。
 秋と言えば、『食欲の秋』ですが、11月は食に纏わる記念日が多くあります。
 11月3日は「みかんの日」です。「11(いい)3日(みっかん)」の語呂合わせで農林水産省と全国果実生産出荷安定協議会により制定されました。

 みかんの原産地はインドのアッサム地方で中国を経由して日本に伝えられたと言われています。室町時代頃から生産が盛んになり、江戸時代には江戸や大阪などの大消費地で人気が高まり、果物の代表格としての地位を確立しました。

 みかんの生産量は1位 和歌山県、2位 愛媛県、3位 静岡県、4位 熊本県、5位 長崎県の上位5県でなんと68%を占めており、ご存じのとおり温暖な地域で生産されています。 消費量(家計調査)は1位 和歌山県、2位 愛媛県、3位 栃木県、4位 福井県、5位 富山県となっており、大生産地だけでなく北関東、北陸、東北でも人気のようです。

 これから秋も深まり、温州みかんの美味しい季節となります。暖かい部屋で甘い温州みかんを食したいと思います。

十月のことば

 オレンジ色のカボチャ飾りが雑貨店に並ぶこの季節、ハロウィーンが近づいてきました。

 10月31日に行われるこの行事ですが、もともとは欧州古代ケルト人の風習。ダーク・ハーフ(暗い季節)に暦が切り替わるこの日、別の世界との境界があいまいになり霊がさまよってくる。怖い仮装をすることで悪霊から身を隠したのが始まりとのことです。北米に移住した人たちが広めるうちに、子供たちが仮装して近所の家々を回りお菓子をねだる行事になったようです。

 日が落ちるのが早くなり、雪が降りだし寒くなる。さみしい気持ちが募る頃、子供も大人にも気晴らしの楽しい行事になっていったのかと思います。今年賑わいが戻った日本の街に、仮装したお化けさんたちが大勢やってくるのでしょうか。

 皆が楽しく安全に過ごせることをお祈りしながら、私はお家で美味しくなってきたカボチャを煮つけてホクホクといただくことといたします。

九月のことば

 9月は防災の月でもありますが、イチョウの木が火事の延焼を防いだという話が多くあると聞き、興味が湧きました。

 防火機能がある樹木はイチョウだけではないようですが、中でもイチョウは含水率が高く、樹葉の含水率は70%以上だそうで、各地で防火樹として活用されているとのこと。ただの日陰より木陰に入ると涼しく感じるのは、その水分が放出され、気化するときに熱を奪ってくれるから。汗や打ち水と一緒です。過度の剪定などによって葉の量が少なくなったりすると、樹木全体の水分量はだいぶ減ってしまうようで、防火の効果は低下します。大きく立派な木がいいようです。

 関東大震災でも多くが焼け残ったことで防火も兼ねて、街路樹といえばイチョウ、というようにその地位を築いたようですが、そのおかげもあって、神宮外苑をはじめとして都市部にも見ごたえのあるイチョウ並木がたくさんあります。

 黄金色に色づく季節にはまだ早いですが、残暑の日差しを遮ってもらいながら並木道を歩き、秋の訪れを待つ日々です。

八月のことば

 「入道雲」、子供のころ夏になると毎日のように目にしていましたが、最近はあまり見ていないような・・・。おそらく、会社にこもって空を見上げる機会が少なくなっているのでしょうね。

 「入道雲」は、積乱雲や発達した雄大積雲の俗称で、力持ちで体の大きなお坊さんや、坊主頭の妖怪(大入道)が由来と言われています。ユーモラスですね。元々稲作中心の日本では、天気を見極めるため、日々変わる雲の動きに敏感で、雲の形にもいろいろな名前を付けています。「入道雲」だけでも、他に「坊主雲」、「坂東太郎」、「丹波太郎」と地方によって、いろいろな表現があるようです。

 時として危険な雷雨をもたらす入道雲ですが、大自然に対する畏怖の念と、一方で親近感を込めた、日本語ならではの絶妙なニュアンスを感じます。

 夏が過ぎて、空が高くなると今度は「いわし雲」を見かけるようになりますね。たまには立ち止まって、空を見上げてみるかな。

七月のことば

 昨年、初めて熱中症を経験しました。野外で運動の後、軽い脱水症状のため救急搬送されました。視界が白くなり、倒れ込みました。意識はあり、周囲の声も聞こえていましたが、自分がしゃべるのは、しばらくの間、呂律がまわらない感じでした。

 病院での診断は、軽い脱水症状でした。運動中、1.5リットルの水分を取っていましたが、空腹時間が長かった(食後、運動終了まで7時間)ことも原因と言われました。病院に到着するまで、経口補水液を飲まされましたが、水分補給には即効性があることがよく分かりました。その後、運動する際は経口補水液を携行、運動前にゼリーの補助食を取るようにしています。

 今年も暑い夏になりそうです。野外での活動時には熱中症対策をしっかりおこないましょう。

六月のことば

 6月に入り、これからじめじめとうっとうしい梅雨の季節へと向かいます。
 「うっとうしい」と書きましたが、それは私の日常生活における個人的な感想に過ぎません。

 雨は時として激しく降り大きな災害をもたらすこともありますが、しとしとと降る雨に濡れる紫陽花に風情を感じることもあれば、雨が欠かせないビジネスもあります。
 何より日本古来の稲作にはこの季節の雨は必要なもの。ごはん好きの私は、雨に生かされているのです。

 世界的にみると、砂漠化・土地の劣化が進んでいて、全陸地の40%以上が乾燥地といわれています。地球環境的にも雨は持続可能な発展にとって非常に重要なものです。
 ちっぽけな自分の日常を振り返って、、、雨は天の恵みと感謝しつつ、この季節を楽しむ方法を探してみようと思います。

五月のことば

 目にも鮮やかな青葉、若葉が生い茂る美しい季節になりました。5月は木々が成長する季節ですが、ビジネスでも新たにスタートした年の中で新しいアイデアやビジネスチャンスを生み出すことができる時期になります。それと同時に季節の変わり目や新しい環境・仕事からストレスや疲れがたまり心身に負担がかかりやすく体調管理に気を付ける時期でもあります。ストレスや疲れが溜まった時に大事なことは心身のリフレッシュです。リフレッシュは心身を癒し、ストレスや疲れから解放されるだけではなく、新たな気持ちや視点を得る効果があり、仕事に集中することができるようになります。

 毎日の生活の中に休息や運動などのリフレッシュの要素を取り入れ継続して行うことが大切ですが、特に仕事が忙しい時にリフレッシュすると効率的に仕事に取り組むことができるようになります。また、定期的にリフレッシュすればより持続的にパフォーマンスを発揮することができるようにもなります。

 リフレッシュで心身を整えることは、困難が伴う挑戦や成功には欠かせない要素と言えるのではないでしょうか。ぜひ、自分に合った方法でリフレッシュを取り入れ、新たな挑戦、成長にチャレンジしてみてください。

四月のことば

 暖かな日差しの中、家々の庭先でふとピンクの花を見つけ、春だなと感じることがあります。はて、この花は?と思い調べてみると、一番早く2月頃から開花する梅は花びらが丸く、枝にへばりつくように咲くそうです。桃は3月、花弁の先が尖っていて葉も同時に芽吹きます。それより少し遅い桜は、花弁の先が二股に分かれハート型をしています。また、花が軸の先に付くため下を向いて咲きます。大きな桜の木の下で満開の花見を楽しめるのは、このお蔭なのですね。

 福島に三春というところがあります。

 樹齢千年以上と言われる滝桜で有名なその地は、梅・桃・桜が一時に咲き誇る里として、その名で呼ばれるようになったそうです。三花繚乱。そこかしこに咲き乱れ、芳しい香りとともに癒しを与えてくれる素敵な場所です。晩春の滝桜を訪れ、散りゆくまばゆい花しぶきを浴びながら、自然と一体となったかのような不思議な感覚に包まれたことを思い出します。

 どなたにも忘れられない瞬間やとっておきの場所があるのではないでしょうか。

 その光景を思い浮かべると不思議と希望や力がみなぎってくるような。

 4月、春爛漫。そんなことを感じさせてくれる季節です。

三月のことば

 新型コロナが国内で確認されてから3年が経過しました。政府は5月から感染法上の分類を季節性インフルエンザと同じ『5類』に引き下げるようです。

 コロナが騒がれ始めた頃は、マスク・消毒液・体温計・体温計に入れるボタン電池まで購入出来ない状況が続き、混乱をきたしました。今や潤沢になったマスクですが、『5類』引き下げに伴うマスクルール緩和により外す事が多くなりそうです。マスクへの考え方は人それぞれで全員が外すとは考えにくいというのが大方の見方ですが、私個人としては、息苦しさ、肌が荒れるなどの理由からそろそろ外したい思いはあります。

 3月は卒業の季節ですが、学生の方々は学生生活の殆どでマスクを着用し、マスクを外した友人の顔を見た事が無いという方もいると報道されていました。一見マイナスの様に感じますが、マスク生活において表情が見えない事の不自由さから、逆に「言葉」に対し深く耳を傾ける事が出来る新たなスキルを身につけたのではないでしょうか。

 現代のネット社会においては、「言葉」一つで良い方向にも悪い方向にも転がる可能性があります。「言葉」に対し深く耳を傾ける事が出来る新たなスキルはネット社会においても有効で役に立つかと思います。

 卒業生の方々はこれまでの社会人とは違う、新たなスキルと感性を持っている事に自信を持って、羽ばたいてもらいたいと思います。

二月のことば

 「FIFA ワールドカップ カタール 2022」で話題となったVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)。ボール内部のセンサー、ハイスピードカメラ、映像分析など、最新のテクノロジーによって成り立っているそうです。

 調べてみると、手法や呼び名は違いますが、多くのプロスポーツや競技において判定補助サービスやリプレー検証制度が導入されています。

 テニス四大大会においては、2021年全豪オープンにて線審を配置せず主審と自動線審システムのみで試合が進められ、同年の全米オープンでは全コートにおいて線審なしで開催されています。これは、コロナ禍で会場内の人数を減らすことが目的であった様ですが、技術革新によって消える職業として「スポーツの審判」が挙がっていた事を思い出しました。

 現在は人間の誤審リスクを減らすために判定補助サービスが導入されていますが、テクノロジーの進化によって、「近い将来、ロボット審判が当たり前になっているかも?」と考えてしまいます。

一月のことば

 あけましておめでとうございます。

 昨年は一年の世相を表す「今年の漢字」に「戦」という文字が選ばれ話題になりました。オリンピックで日本人選手のゴールドメダルラッシュに沸いた一昨年の「金」が、はるか昔のことの様です。一年で世相はずいぶんと変わるものですね。

 「金」、「戦」と続いたのは実は今回が初めてではなく、2000年のシドニーオリンピックでは高橋尚子さんがマラソンで活躍し「金」。次の年2001年にはマンハッタンのワールドトレードセンターが大変なことになり「戦」になってしまいました。

 2002年はというと「帰」帰国する、元に戻る、原点に帰る年だった様です。

 今年はどのような年になるのでしょうか。歴史は繰り返すといいますが、巷の賑わいが元に戻り、良いこと楽しいことが戻ってきて、皆の笑顔が戻る。素敵な年になることをお祈りしたいと思います。