毎月のことば

2021

2021年のことば

十二月のことば

 12月26日で最終回を迎えるNHKの大河ドラマ『晴天を衝け』は、明治から昭和初期にかけて活躍した実業家 渋沢栄一(1840~1931)の生涯を描いています。番組をご覧になっている方も多いのではないでしょうか。渋沢栄一といえば、2024年に発行予定の新1万円札にその肖像が採用されることが決まっています。

 11月7日の放送では渋沢が設立した東京商工会議所が取り上げられました。ビルの中に設けられたミュージアムには、渋沢栄一ゆかりの資料が展示されています。そして、その筋向いに当社の本社が入っている明治生命館があります。

 明治生命館は、1945年から1956年にかけてアメリカに接収され、現在は一般公開休止中ですが、連合国軍最高司令官の諮問機関である対日理事会の会場として2階の会議室が使用されました。1997年に昭和期の建造物として初めて国の重要文化財に指定された建物の中で執務する幸せを噛みしめつつ、今年も暮れていきます。

十一月のことば

 急に朝晩の冷え込みが厳しくなったかと思えばもう11月、近年は秋を通り越して一気に冬になってしまうことが多いようです。ただ、寒くなってくると木々が色づき、魚には脂がのり、野菜にも甘みが出てきます。紅葉に染まる美しい景色を観ながら美味しい食事を楽しむには最適の季節です。コロナで明け暮れた今年の東京では緊急事態宣言等のない時期はほぼなかった状況でしたが、折しもコロナ感染者数が激減し、一部制限はありますが、年末になり漸く旅行や会食が気兼ねなく楽しめるようになりました。ステイホームで凝り固まった心と体を名所観光や友人との会食で解きほぐしたいものです。

 ビジネスでも、久しぶりに出張して対面での会議ができるようになりました。リモート会議も大人数の場合には便利ですが、少人数での議論にはコミュニケーションがよりよく取れる対面方式が勝ります。また、お客様などとの会食も少人数で行えるようになり、食事を共にしながらの仕事以外の話が人と人を近づける大切さを改めて感じることとなりました。コロナ対策での制限が、今までは当たり前のようにやっていたことの良い点を再認識させてくれたと思います。これからのウィズコロナ時代ではテレワークや会議の仕方などは、それぞれの利点を考え、使い分けるようになって行くのでしょう。

 ただ、今のような状況を続けるにはコロナ対策の基本(マスク着用、手洗い)をしっかり行うことが重要だそうです。ビジネスでも、好調で忙しい時には忙しさにかまけ、つい気が緩み基本動作が疎かになりがちです。コロナにせよ、仕事にせよ、いい時期にこそちょっと気を引き締め、基本動作を忘れず徹底することが大事ですね。

十月のことば

 10月になるといよいよ秋も本番、特に暑い日や寒い日もあまりなく過ごしやすい季節となります。新型コロナの新規感染者もピーク時と比較すると減少し、油断はできないもののコロナの束縛から少し解放されつつある中で迎える秋となりそうです。

 さて、これまでのコロナ禍の中での生活を少し振り返ってみると、人と人とのつながりについて考えさせられることが多くあったことを感じます。コロナ以前は宴会等の様々なイベントを通して人間的なつながりが形作られ、さりげない会話や雑談等で相手に対する自然な理解が進み、特に意識しなくても円滑なコミュニケーションへ結びついていました。今や雑談をするにも意図的に場を設ける必要があります。日常の些細なふれあいが大切であったことに思い当たります。

 このような中、先日、社内で開催されたアンコンシャス・バイアス研修を受講しました。無意識の思い込みに気付き、物事を鳥瞰的に捉える(メタ認知)ことで、言動や行動を修正して実行する。当然のことと思い込んでいた事柄へ目を向け、聞く力や肯定力、質問力等のスキルを向上させることで、より良いコミュニケーションが生まれ、その結果は、安心して働ける職場、社会貢献等も含めた大きな成果を生む職場へとつながります。この研修でも日頃の雑談等が重要なことを改めて認識しました。

 これから秋らしいイベント、お祭りや運動会や温泉旅行等の行楽等々の再開が期待されます。マスク無しの以前の生活には、戻れませんが、かつて普通に行われていたことの復活の兆しがとても有難く感じられます。コロナの束縛から少しでも解放されることを期待しつつ、無意識の束縛を解放すべく努力しつつ、今ある日常のふれあいを大切にしていきたいと思います。

九月のことば

 9月を迎えました。1日は防災の日です。

 関東大震災が起こった日であり台風も発生しやすい頃であることから、地震や風水害に備える日として1960年に制定されたものです。

 例年この時期には全国で防災訓練が行われてきましたが、この状況下、集合形式のものの多くは中止を余儀なくされることでしょう。備えられるものばかりではないでしょうが、それでも直面した際、対処し得る心構えは持っておきたいものです。

 昨今では単なる自然災害とは言えないものも多く、地球温暖化をはじめ、山林伐採など開発に起因する土砂災害、原発のような大規模事故に至るまで、何らかの人の営みと無関係ではないと考えられています。感染症による危機も相まって、命を守るため、私たちの在り方を見直す重要な転換期を迎えているのかもしれません。

 9月は長月と呼ばれ、由来は夜長月とのこと。

 コロナ禍という長い夜がいつ明けるのか見通すことはできませんが、一人ひとりが為すべきことを為すという気持ちで着実に歩を進めましょう。明けない夜はないことを信じて。

八月のことば

 7月末に、ホームページの事業紹介に「DXに関する取り組み」を掲載しました。当社のDX推進戦略、具体的方策、実施事例を掲載していますので、是非、ご覧下さい。また、ホームページでのDX推進状況の公表に併せ、DX認定制度への申請を準備しています。

 DX認定制度とは、ビジョンの策定や戦略・体制の整備などをすでに行い、DX推進の準備が整っている(DXReady)事業者を経済産業省が認定するものです。

 認定された際は、ホームページで公表致します。

 DX関連で、新たな取り組みをご紹介します。

 現在、DX施策の一つとして「電子帳簿保存法改正」への対応を経理部とDX推進部で取り組んでいます。この法律改正で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録について、その電磁的記録の出力書面等の保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができる措置」が廃止となります。これまでは、メールなどで受け取った会計証憑(PDF形式の請求書など)は紙出力保存が認められましたが、法律改正によって、電子データで受け取った会計証憑は電子データ保存が必要となります。

 当社は、見読性・検索性などの要件を満たすシステムを導入して対応の予定です。

 法律改正施行日の令和4年(2022年)1月1日までの5ヶ月間で電⼦取引データの保存に対応、その後はスキャナ保存への対応と、電帳法対応が続く見込みです。

七月のことば

 7月、商店街などでウナギを焼く良いにおいが漂ってくる時節になりました。

 今年の土用の丑の日は7月28日とのこと。もともとウナギは脂がのる秋から冬が旬でしたが、江戸中期に平賀源内が、体力の弱るこの時期に食べてはと発案し、広まったという説があります。江戸は背開き、大阪の腹開きは武士/商人文化の違いと言いますが、白焼きをする江戸では、腹から割くと焼いている最中にちぎれやすいという事情もあった様です。

 アツアツ、ふっくら、やわらかでおいしい福岡 柳川の「せいろ蒸し」。そのまま、薬味、お茶漬けで3度おいしい名古屋の「ひつまぶし」など地域地域で工夫を凝らした美味しさに触れるのも楽しいですね。

 絶滅危惧種となってしまいましたが、何とかこの豊かな食文化が続いて欲しいこと。どこにでも気兼ねなく旅行が出来、美味しい料理を食べながら、土地のお酒を頂く事。こんな楽しみが早くもどってくることを、願ってやまないこの頃です。

六月のことば

 モノは買うべきか借りるべきか。人生最大の買い物と言われる「マイホーム」。

 昔から、持ち家派と賃貸派に分かれ、巷では賛否両論あるが、どちらがいいとも言い切れない。それぞれに考え、自分のライフスタイルに合わせて好きな方を選んでいると思う。

 最近ではサブスクリプションといわれるようになり、所定料金を支払うことで、商品やサービスを一定期間、自由に利用できる時代になった。レンタル、リースといった形態は以前からあったが、モノを買わずに、より自分のモノらしく、手軽に利用できるようになったのは良いことだと思う。

 ビジネスの世界でも、クラウドサービスなどを活用して、自前の資産を持たずに経営を効率化していくのが当たり前になった。機動力も高まり、仕事にスピード感が出てくる。積極的に活用を検討していきたい。

 自分の話に戻ると、今は車をどうしようか考えている。こちらは必要以上にスピードを出す必要はないが、SDGsの世の中、どんな形にしても、手に入れたモノは大事に使いたいモノである。

五月のことば

 皆さん、5月にちなんだ問題を一つ。

 「五月蠅い」、この読み方をご存じでしょうか?当て字で「うるさい」と読むそうです。私は、先日パソコンの漢字変換を見て初めて知りました。

 陰暦の5月は今の6月、梅雨の季節。手で払っても払っても群がってくる蠅。「ぶーん」という羽音とともに視界を行き来して思考を遮られる。音のうるささもあるのでしょうが、心乱される、鬱陶しさを表現していて、なるほどなあ、と感心してしまいました。

 もし、こんな環境でテレワークをやっていたら、なかなか集中できそうにないですね。

 最近、テレワークの普及に伴って、夫婦喧嘩が増えているのだとか。蠅でさえ「五月蠅く」感じ、心にさざ波が立つこともあるのですから、人との距離が物理的に変化している今、些細なことで心の余裕がなくなることもあると思います。心落ち着ける距離感を模索し、また対処の仕方も覚えながら、テレワークを定着させていきたいと思います。

四月のことば

 4月は英語で「April」。古代ローマでは、草木が芽吹き花々が開く春の季節ということで、「開く」を意味するラテン語「Aprilis」を4月の名称として用いていたそうです。

 日本では4月は別名「卯月」。卯月の由来は「卯の花月」(卯の花が咲く月)を略したものというのが定説となっています。

 4月は卯の花だけでなく、多くの花が「開き」、新年度、新学期等新しい「始まり」の季節。私共、三菱電機トレーディングでも人事異動があり、新しい職場で活動を開始する人がいます。また、新しく入社する仲間を迎えます。

 コロナ禍になって2回目の春。生活様式は様変わりして来ましたが、4月独特の、期待と緊張が入り混じった感じは変わらない気がします。外出等を控え、少し縮んでいた背筋を伸ばし、新しい始まりを新しい仲間とともに楽しみたいと思います。

三月のことば

 今年の3月は例年に比べて少し気温も高いそうで、春の空気や暖かな陽気に心和む日々になってきました。二十四節気のひとつである啓蟄は現在の3月6日頃とのことで、この頃になると冬眠していた虫たちが地面からはい出して来て再び活動し始めるとされています。私たち人間はと言えば、コロナ禍での巣ごもりから中々外に出にくい状況が続いている今日です。私自身も自宅にこもりがちで休日も外出を控えるようになり又あまり動かないので、気分転換がしにくい中で自分なりの工夫をせねばと思い立ち、自宅からさほど遠くない多摩川沿いをウォ-キングすることにしました。多摩川沿いを北上していくと、良く晴れた日には富士山もはっきり見え、自然の中を歩くことで、爽やかな気分になり明日への活力も湧いてきました。

 混沌とした世の中でも、春に向けて芽吹く草花のように、活動を再開する生き物のように、少しでも前を向いてそして今までよりも変化を楽しみながら過ごしていけたらと思っています。

二月のことば

 今年の節分の日は2月2日、124年ぶりだそうです。節分と言えば豆まきですが、その由来は宮中で大晦日に行われていた追儺(ついな)という、疫病や災害を引き起こして人々を苦しめる疫鬼を追い払う儀式と言われています。また、節分は文字どおり季節の分かれ目で、暦のうえでは翌3日の立春から季節は春になります。節分の日には、商売繁盛と無病息災を祈りながら小声で豆をまいて、恵方巻を作法どおりに無言で丸かじりして、新型コロナという新たな鬼を追い払ってしまいたいものです。今月末からは新型コロナワクチンの接種が始まり、先に光が見えてきます。季節だけでなく日々の暮らしにも春が来たことが実感できるよう、一人一人がもう少し我慢しながらコロナ感染予防・防止を徹底したいものです。そして一日でも早く、休みなくご尽力いただいている医療関係者の方々が普通の生活に戻れるように、経済活動が回復するように一致団結しましょう。

一月のことば

 「目出度さも ちう位也 おらが春」、小林一茶晩年の句。なにかと思い通りにならない中、新春を迎えて詠んだ一句です。いよいよ新しい年が始まりましたが、新型コロナの流行で新春のおめでたさも中くらいの感じがします。

 そんな気分の中、今年はどんな年になるのか少し想像してみました。まず、ワクチン接種が始まります。安全性や有効性の慎重な見極めは必要ですが、接種が本格化するに連れて徐々に感染が収束していることでしょう。医療現場は異常な状態を脱出、会食・旅行等はコロナ前レベルまで復活し、オリンピックも順調に開催されて活気が戻ってきます。テレワークや時差出勤等は拡大しワークライフインテグレーションが進展、生活の質は向上しています。来年の今頃はきっとみんなで集り、新年をお祝いしていることでしょう。でも、コロナ対策で多額の税金を使ったので、その後始末も待っています。バラ色とまではいかなくとも希望溢れる年になってもらいたいものです。

 今年は丑年、牛の歩みは遅くとも、じっくりと一歩一歩、やるべきことを丁寧に選び着実に実行し少しでも良い未来を創り出すことが大切だと感じます。